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天保年間からつづく、老舗の海産物加工品店。地元名物の「塩引き鮭」や、こだわりの「味噌漬け」を中心に、厳選素材を使った商品を手掛けている。

又上 軒先に鮭が吊るしてある、村上市ならではの風景

とにかく素材。目利きを極める老舗

村上市岩船地区にある「又上(またじょう)」は、江戸時代後期の天保年間(1831年~1845年)に創業した老舗。地元名物の鮭を中心に、海産物を加工・販売している店だ。店頭には、名産「塩引き鮭」や、こだわりの「味噌漬け」、ホッケ・サバなどの「干し魚」など、味自慢の品々がずらりと並んでいる。7代目店主の伴田宏さんにこだわりを伺ってみると、「なにより目利きですね。美味しい素材を仕入れないことには、美味しい加工品は作れません」と力強く答えてくれた。老舗・又上の経験からすると、加工品の美味しさの8割は、素材の善し悪しによって決まるという。もちろん、残りの2割となる「技」の研鑽と、「調味料」の厳選も怠らない。それでも、「技や調味料は、あくまで素材の引き立て役です。なんといっても、素材が大切」と、伴田さんは繰り返す。この並々ならないこだわりこそ、同店が長年にわたって地域からの信頼を集め、人気でありつづけられる理由なのだろうと感じた。

鮭へのこだわり。厳選したものだけを使う

村上市といえば、鮭の名産地。かつての城下町として、食文化が花開き、美味しい鮭料理が数多く生み出された。中でも有名なのが「塩引き鮭」。各種メディアで紹介され、全国的にも認知度が高い名品だ。乾燥させて旨味を凝縮するために、軒先に逆さ吊りの鮭をずらりと並べる「寒風干し」は、冬の風物詩となっている。この塩引き鮭は、村上市全体で作られる地域名物だが、村上地区・岩船地区で、鮭の種類が違うそうだ。村上地区では、三面川を遡上してきた「川鮭」が使うことが、岩船地区では、河口に入る前の「海鮭」を使うのが伝統である。海鮭は、川の登る前のため、川鮭に比べて体力がある。現在、「村上産」が使われることは少ないが、又上では、塩引き鮭にはかならず「海鮭」を使っているという。さらに、オスの鮭を使うこともこだわりの一つ。なぜなら、卵に栄養を与えなくてよく、体力があるためだ。そのため、又上の仕入れた鮭は、表面の銀色が美しく、身には張りがあり、脂がしっかり乗っている。美味しい塩引き鮭を作るのに、申し分のない品質である。

  • 又上
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生産者紹介

7代目:伴田宏
7代目伴田宏

村上市出身。天保年間からつづく老舗「又上」の7代目として生まれた。高校卒業後は、東京に出て、都内の鮮魚店にて修行。26歳のとき、地元の岩船へ戻り、家業に入る。「東京では加工品が売れましたが、こっちでは調理済みだとなかなか売れない。ギャップに驚きました」と、当時を振り返る伴田さん。それでも、学んできた技術を活かすべく、「漬け魚」を新しく作りはじめた。また、商品のバラエティを増やしながらも、ジャンルを絞ることで専門店化を図り、お客さんが訪れやすい、買いやすい店作りにも尽力。さらに、通販事業や卸事業も開拓するなど、さまざまな挑戦に取り組んできた。モットーは、「まじめに作って、まじめに売る」。贈答品として、もらって嬉しい、贈って嬉しい商品を手掛けている。

店舗詳細

店舗名称 又上
住所 新潟県村上市岩船上町6-24