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金属産業の一大集積地・三条市にある金属加工メーカー。熟練の職人技による「熱間鍛造」でキッチンハサミを製造している。抜群の使い心地と切れ味、高い耐久性が評判だ。

栗忠製作所 創業以来、ハサミ一筋

キッチンハサミ専門の町工場

三条市は「ものづくりのまち」として世界的に名を馳せる地域。洋食器や刃物などの金属加工を行うメーカーがひしめいている。栗忠製作所もそのひとつ。1979年の創業以来、キッチンハサミを専門に製造してきた町工場だ。鍛造によるオールステンレス製のハサミは、持ち手と刃先の重量バランスが良く、使い心地と切れ味が抜群。錆びにくい上に、切る対象物に負けない耐久性を持っている。肉や野菜はもちろん、カニやエビの殻など硬いものでも難なく切ることができる優れものだ。

熟練の職人技による「熱間鍛造」

一口に鍛造といっても、その種類はさまざま。栗忠製作所が行っているのは、金型を使った熱間鍛造だ。金属素材を真っ赤になるまで加熱し、上下一組の金型に入れ、エアハンマー(1/3)という機械によって圧力をかける。ステンレスは金属の中でも特に硬い素材。そのため、1000度を超える高温の窯でやわらかくする。「真っ赤になった素材を窯から出すタイミングは、まさに職人の勘ですよ」と、2代目の栗山秀雄さん。窯出しの際の素材を持った感覚、色を見極める職人技が求められるという。

品質を左右する最終工程「合い刃取り」

栗忠製作所では、100ほどの工程を経てハサミが完成するという。中でも、品質を決める大事な工程が「合い刃取り」。別々に研磨した2本の刃を組み合わせる仕上げ作業のことだ。2代目の栗山さんが、研磨したばかりの刃を持ちながら、「これらを単純に組み合わせただけでは、切れません。ほら、切れないでしょ?」と、紙を挟んで実演してくれた。抜群の切れ味には、「噛み合わせの正確さ」が求められるという。ひと目見ただけではわからないような微妙なズレを、職人が目視で見極める。銅製の金槌で「コンッ」と叩いて微調整すると、見事な切れ味のハサミが完成した。この繊細な職人技には脱帽だ。「どんなにピカピカに磨いた刃でも、最終工程の『合い刃取り』が疎かだと台無しです。腕の見せどころですね」と、力を込める。

  • 栗忠製作所
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生産者紹介

2代目:栗山秀雄
2代目栗山秀雄

三条市出身。ハサミ専門の金属加工メーカーで修行後、家業の栗忠製作所に入り、47歳で2代目を継ぐ。「小さい頃から親父がハサミを打っている姿を見てきましたからね。嫌でも覚えちゃいました」と、笑う。以来、50年以上にわたって、オールステンレス製のキッチンハサミを作り続けてきた。栗山さん曰く、一番のやりがいは、「お客さんの声」だとか。「『ずっと使い続けたいから、研ぎ直してほしい』というお手紙をいただくこともあります。嬉しいですよね」と、笑顔を見せた。

店舗詳細

店舗名称 栗忠製作所
住所 新潟県三条市金子新田984-14