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1945年の創業時から、地元の伝統工芸品「鎚起銅器」の技術を受け継ぐ鎚起工房。銅や錫といった金属を用いて、湯沸かしや酒器などの日用品を製造している。

鎚起工房 清雅堂 弥彦山の麓に工房を構える

1945年に創業した「鎚起工房」

1945年に創業した「清雅堂」は、燕市の伝統工芸品として知られる「鎚起銅器(ついきどうき)」の技術を受け継ぐ鎚起工房。「鎚起(ついき)」とは、一枚の金属板を「鎚」と「当て金」を用いて、打ち絞り成形する金属加工技術のこと。清雅堂では、湯沸かし(やかん)や酒器をはじめとするさまざまな日用品を製造している。創業は、燕市で彫金師として修業を積んだという初代・西片巳則さんが、生家のあった分水町(現燕市)で独立したのがきっかけだ。2代目・正さんに代替わりしたタイミングで、現在の工房を構える弥彦村に移ったという。「銅の素となる鉱石が採掘されていた間瀬銅山がある弥彦山は、鎚起銅器のルーツとなった場所なんです」と教えてくれたのは、3代目となる亮太さん。現在では、弟・浩さんと兄弟2人で家業を継いでいる。昔からの伝統を大切にしながらも、常に新たなものづくりに挑戦している。

鎚起技術を用いた「錫製酒器」を製造

「純錫で飲む日本酒は、まろやかで美味しい」と、日本酒好きの間で注目されている錫製酒器。清雅堂では、地元の小料理屋からの強い要望により、2代目・正さんが「錫製酒器」の製造を開始した。錫製品というと、大阪や富山が産地として知られており、溶かした錫を型に流し込んで成型する「鋳造(ちゅうぞう)」が一般的。しかし清雅堂では、一枚の金属板を打ち絞り成形する「鎚起」の技法で仕上げている。金属の中でも特にやわらかい性質の錫は扱いが難しく、高度な技術が必要になるという。鎚起ならではの繊細な鎚目(つちめ)と、錫のやわらかな光沢感は、唯一無二の錫製酒器として見た目の美しさも高く評価されている。

清雅堂オリジナルの伝統色「青藍色」

清雅堂が独自の加工技術で生み出す「青藍色(せいらんしょく)」。上品に輝く深みのある青色は、溶液に浸けることで銅の錆を誘発させて色を出している。湿度や温度によって発色具合が変わるため、その日の天候や気温に合わせて微調整するという職人技だ。2021年に参加した「百年物語プロジェクト」でも、清雅堂を代表する商品として「青藍色」のぐい呑みとちろりを製造。創業当初からつくられていた伝統色は、現在でも変わらず清雅堂のものづくりに受け継がれている。

  • 鎚起工房 清雅堂
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生産者紹介

3代目:西片亮太
3代目西片亮太

清雅堂の3代目として生まれる。長岡造形大学院を卒業後、家業である清雅堂に入社。はじめは、産業製品よりもアート的なものをつくりたかったという亮太さん。「家業に入ってから、自分がつくりたいものよりも、お客さんが日々の生活の中で使うものに関心が移ってきました」と心境の変化を語ってくれた。2010年頃には、湯沸かしの最高峰と言われる「耳口打出」の技術を習得。一枚の板から注ぎ口や取っ手を取り付ける部分まで打ち出す、とても高度な技術だ。「伝統技術を継承しながら、お客さんに喜んでもらえる製品をつくっていきたいですね」と、亮太さん。「鎚起」職人として、情熱を持ってものづくりを行う。

店舗詳細

店舗名称 鎚起工房 清雅堂
住所 新潟県西蒲原郡弥彦村麓4693