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村上市に江戸時代から伝わる漆工芸品「村上木彫堆朱」の製造技術を受け継ぐ「鈴木漆器店」。新たな工芸品「SUMI・CO」を入り口に、漆器の魅力を伝える。

鈴木漆器店 漆器の色合いから彫刻のデザインまで一貫した要望に応えられる漆器店

時が経つにつれ美しさを増す「村上木彫堆朱」

村上市にある鈴木漆器店で生産・販売しているのは、地域名産の漆工芸品「村上木彫堆朱(むらかみきぼりついしゅ)」。これは、朱色の漆(うるし)を何度も何度も塗り重ね、緻密な彫刻を施すことで仕上げられる工芸品で、まるで絵が浮き上がっているかのような彫り込みと、使い込むほどに艶を増す漆がとても美しい。国内の伝統工芸品として有名な「加賀友禅(石川県)」や「西陣織(京都府)」と同じく、国から「伝統的工芸品」の指定を受けている。村上市は平安時代から、天然漆の一大産地として知られていた。「漆塗り」は京都、「彫刻」は江戸から技術が伝わり、今から250年以上前の江戸時代中期に村上木彫堆朱の基礎ができたとされている。

顧客の要望に一貫して応えられる「鈴木漆器店」

鈴木漆器店を経営しているのは、創業者の鈴木正さんと、息子で2代目の伸也さん。2人は国から認定を受けた「伝統工芸士」だ。村上木彫堆朱は3つの製作工程でそれぞれ専門が分かれるが、工程ごとの専門性がとても高く、2つの技術さえ同時に身に着けることは非常に困難とされている。そんな中、両名は「漆塗り」と「木彫り」の2工程を一貫して請け負える貴重な存在。1964年の創業当初、正さんは「木彫り」を専門としていたが、その後「漆塗り」を会得したのは、片方だけでは思うような作品が作れないことがあったからという。1人の工芸士が一貫して製作することで、顧客の要望により応えやすくなった鈴木漆器店。同店で作られるオーダーメイド品の皿や壺は、自宅用や大切な人への贈り物にとても喜ばれている。また、その技術力は高く評価されており、正さんは新潟県知事賞、経済産業大臣賞を受賞。さらには、国からの叙勲として「瑞宝単光章(ずいほうたんこうしょう)」を授与されている。
オーダーメイド品の他にも、既製品の皿やアクセサリーを販売。店頭はもちろん、百貨店やデパートの催事でも購入できる。丈夫で時間が経つほど美しくなる漆器は、結婚式の引き出物や内祝い、退職祝い、長寿(還暦・喜寿・米寿)祝い、新築祝いなどとしても利用されている。

新たな漆工芸品「SUMI・CO」

2017年、鈴木漆器店から新たな漆工芸品「SUMI・CO」が登場した。木製の皿や箸に、漆塗りを施した上で「炭粉」でシックに仕上げた黒い漆器である。焼物のような重厚感と木製漆器特有の軽さ、炭粉のザラザラした手触りが特徴。表面は使い込むほど滑らかに変化し、愛着が湧いてくる逸品だ。もともとは、正さんが自宅用に製作したものであった。来店客の目に留まったことがきっかけとなり、炭粉仕上げ漆器の製作要望が増加。依頼に応えるうち、全面を黒くしたシックな雰囲気の漆器「SUMI・CO」が完成した。本来の村上木彫堆朱より製作期間がはるかに短く、比較的安価で購入できるため、漆器入門にぴったりの新ブランドとなっている。「SUMI・COを入り口にして若い人へ漆器の美しさと魅力を伝えていきたい」と語るのは伸也さん。伝統を受け継ぐだけに留まらず、新しい形で工芸品の魅力を伝える鈴木漆器店の活躍に注目したい。

  • 鈴木漆器店
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生産者紹介

2代目代表・伝統工芸士:鈴木伸也
2代目代表・伝統工芸士鈴木伸也

村上市出身。伝統的工芸品「村上木彫堆朱(むらかみきぼりついしゅ)」の店、鈴木漆器店に生まれる。新潟県の大学を卒業後、銀行に勤めたが、「地域の伝統を後世に残したい」という想いから、29歳で退職して地元へ戻る。父、正さんの下で修業しながら、夜間に村上木彫堆朱の訓練校へ4年間通い、漆塗りと木彫りの技術を学んだ。その後も研鑽を重ね、2015年、経済産業大臣から「伝統工芸士」の認定を受けた。「村上木彫堆朱は製作に何か月もかかる上、細かい作業が多く、とても根気のいる工芸品です。その分、お客様と話しながら一点物の漆器を作ることができ、完成した時にはすごく喜んでもらえます」と嬉しそうに語る。2017年には、村上木彫堆朱とは異なった魅力を持つ漆器「SUMI・CO」を開発。新たなブランドを通じて、漆器の世界を多くの人に知ってもらおうと活動している。

店舗詳細

店舗名称 鈴木漆器店
住所 新潟県村上市肴町8-10
営業時間 9:00~17:00
定休日 不定休