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富貴堂は燕市に継承されてきた伝統工芸品「燕鎚起銅器」の製造技法を受け継ぐ工房。3代に渡って伝統の技を磨き、シンプルかつ機能性の高い日用雑貨を製造する。

富貴堂 伝統を受け継ぐ職人が1枚の銅板からさまざまな製品を生み出す

シンプルで使いやすい日用雑貨を手掛ける

富貴堂は、燕市に江戸時代から継承されてきた伝統的工芸品「燕鎚起銅器」を製造する会社。燕鎚起銅器とは、銅板を金鎚で叩いて形を作り上げる製品のこと。古くは、この技法を用いて水注・花瓶といった日用雑貨が生産され、銅の特性を生かした美術品も手掛けられている。1945年に創業した富貴堂は、湯沸(ゆわかし)・急須・茶筒などの茶道具を生産する事業から始め、その後に記念品や贈答品も受注するようになった。1990年頃、こだわりの日用雑貨の生産へ原点回帰し、さらに品質を高めようと取り組んだ。その結果たどり着いたコンセプトが、「シンプルなデザイン」と「機能性重視」だ。この考えは、時代が変わり生産する品目が変化しても変わらない。

100年使える美しい銅器

伝統工芸品「燕鎚起銅器」を製造する技法は、もともと仙台から伝わったとされている。燕市は近い間瀬銅山から良質な銅が採掘でき、素材の入手が容易だった。そのため、日用雑貨として需要の高かった鍋やヤカン、キセルなどの製造法として、燕鎚起銅器の技法が地域に広まった。1枚の銅板から製造物を作るための技法は、大きく分けて2つある。まず、「打ち起こし」。柔らかな座布団の上に置いた銅板を叩き、凹ませることで叩いた箇所の周囲を立ち上げる。そして、「打ち絞り」。打ち起こした銅板を「鳥口(とりぐち)」という鉄製の棒に引っ掛け、角度を変えながら叩くことで形を整える。鍛金と呼ばれる職人は、主にこの2つの技法を組み合わせ、さまざまな製品を作り上げる。燕鎚起銅器は金属の美しい光沢感に加え、100年使える高耐久性が人気で、近年は海外からも注目される逸品だ。

  • 富貴堂
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生産者紹介

鍛金:藤井 健
鍛金藤井 健

燕市出身。高校を卒業後、200年の歴史を持つ鎚起銅器の老舗「玉川堂」へ入社。修行として2年間勤めた。その後、家業の富貴堂へ入り、父の指導の下でさらに銅器作りに励む。先代から受け継ぐ「道具として使う銅器作り」の考えにこだわり、機能性を大切に製品を手掛けている。器を絞って作る技法「打ち絞り」と「へら絞り」を基に、さまざまなアイディアを取り入れ、時代に合わせた要望に応えながら製品作りに取り組む。

店舗詳細

店舗名称 富貴堂
住所 新潟県燕市花見274-4