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安政5年創業の民窯「西潟製陶所」の系譜に連なる工房。地元の土と灰釉を使用し、「三手模様」を施した伝統の「新津焼」を通して、多くの人に温もりと笑顔を届けている。

新津焼 西潟本陶 もえぎ陶房 木の温かみ溢れる工房内には、個性豊かな作品がのぞく

新潟最古の民窯の伝統を受け継ぐ工房

秋葉山の麓に位置する「もえぎ陶房」。1858(安政5)年から続く新潟最古の民窯(みんよう)「西潟製陶所」の伝統を受け継ぐ工房だ。「このあたりはもともと緑が多く、工房にも先祖が植えた木々がたくさんあります。また、新津は花の産地でもあり、植物との関連が深いことから、春に萌え出る草の色を表す『萌黄(もえぎ)色』から取って、この名を付けました」代表の押味玖弥呼(くみこ)さんは教えてくれた。古くから良質な粘土が採れる秋葉山周辺は陶業が盛んで、かつては西潟本家・分家、二村本家・分家の4つの窯元が存在していた。しかし、冬の燃料費による経営圧迫などで廃業が相次ぎ、今ではここ1軒のみとなってしまった。厳しい冬は粘土が凍り、仕事にならない時期もあるという。それでも、縁起物・湯たんぽ・七輪・植木鉢・レンガなど、その時代のニーズに合った陶器を作り続けることで、この窯は困難を乗り越えてきた。「先人たちがつないできた陶器作りの火を、絶対に途絶えさせない」そんな確固たる誇りと愛情が、工房の隅々から伝わってくる。

目が合えば笑顔になる。福を呼ぶ「猫酒器」

「新潟県伝統工芸品」にも指定されている新津焼。特徴は、新津の土を使うこと、新津の樹木の灰から作られた釉薬で仕上げること、そして3ヶ所に3つの点を描く「三手(さんて)模様」が施されていること。数ある作品の中でも、その可愛らしさから人気を集めているのが「猫酒器」だ。「新潟といえば、米とお酒。新潟に住んでいるのだから、器で新潟を応援できればと思い、酒器を製作しました」と、押味さんは語る。手に取ると、約80グラムという軽さと土の温もりが心地良い。酔って倒すのを防ぐため、転びにくい形状に工夫されているのも心憎い。そして何といっても、酒器の内側に描かれた愛嬌たっぷりの猫の顔に魅了される。お酒を一口飲むたびに目が合い、一人飲みでも自然と笑顔がこぼれてしまう。「招き猫」という縁起物としての楽しさも込められた逸品だ。押味さんは「先人たちは陶器をあきらめることなく、湯たんぽや七輪などを作り、新潟を温め続けてきました。これからも笑顔で心を温めることで、その意志を継いでいけたらと思っています」と、力を込めた。

  • 新津焼 西潟本陶 もえぎ陶房
  • 新津焼 西潟本陶 もえぎ陶房
  • 新津焼 西潟本陶 もえぎ陶房
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生産者紹介

代表:押味玖弥呼
代表押味玖弥呼

新潟市秋葉区新津生まれ。母の実家である「西潟製陶所」の後継者断絶の危機に直面し、継承することを志す。陶芸の大学院を修了後、2001(平成13)年に5代目とともに「もえぎ陶房」を立ち上げ、2016(平成28)年に新津焼6代目を襲名した。現在は作陶のほか、障がい者施設での指導や体験教室など、陶芸を通じた幅広い活動を行っている。地元の粘土を掘り、天然の柿灰釉を使う手間を惜しまない押味さん。「自分が生きている限り、新津焼を途絶えさせない」という強い覚悟を胸に、器を手にする人の幸せを今日も願い続けている。

店舗詳細

店舗名称 新津焼 西潟本陶 もえぎ陶房
住所 新潟県新潟市秋葉区滝谷本町2-5