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妙高市の山間地に広がる棚田で、米作りに励む農家。コンセプトは「人と自然を線引きしない生き方」。作物本来の力を引き出す自然栽培で、コシヒカリや亀の尾を栽培している。

ナマイキカク 寒暖差と雪解け水に恵まれた棚田

大自然の恩恵を活かした棚田栽培

妙高市の上小沢地区は、標高1000mを超える鍋倉山や黒倉山の中腹に位置する。日本の原風景が広がる地域だ。ナマイキカクは、自然豊かな棚田で稲作に取り組む農家。コシヒカリや亀の尾などを栽培している。どれも炊き上がりの香りが芳醇で、みずみずしく、噛むたびに増す甘みが絶品。その美味しさの秘密は、栽培環境にあった。棚田は、平地の田んぼよりも標高が高く、昼夜の寒暖差が大きい。昼間の光合成で生成した栄養分を、夜間冷え込む際に蓄えるため、甘みが強くなる。また、山々がもたらす豊かな水源の恩恵も大きい。同地区は、積雪3mを超えることもめずらしくない豪雪地帯。ミネラル豊富な雪解け水をたっぷり吸収して育つ米は、大粒でみずみずしさが格別だ。

人と自然を線引きしない生き方

米作りと一口に言っても栽培方法はいろいろある。ナマイキカクが取り入れているのは「自然栽培」。人が余計な手をかけずに、土壌や作物が本来持っている力を最大限に引き出す方法だ。じつは、代表の生井一広さんは、就農前に専門学校で生態学について学んでいたという。「勉強しながら思ったんです。本当の意味で自然を守りたいのなら、『人と自然を線引きしない生き方』をしないとダメだなって」と、語る。そこで、里山で自給自足をしながら、農薬と肥料に頼らない自然栽培で米を作る道を選んだそうだ。

除草も収穫も昔ながらの人力作業

自然栽培で米作りに取り組む代表の生井さんは、「農薬を使わないので、除草はとにかく疲れます」と、苦労を語る。手押しの除草機を使って地道に除草。細かい場所は手刈りしている。大変な作業だというが、その反面、環境保全ができていることも確実に実感しているそうだ。「水生昆虫をたくさん見かけますよ。タイコウチとかマツモムシとか。中には絶滅危惧種もいます」と、生井さん。6月頃にはホタルにも出会えるとか。水が綺麗に保たれている何よりの証拠だ。また、一般的な田んぼは、収穫期になると水を抜くことが多い。土を乾かした方がコンバインを効率よく動かせるからだ。一方、生井さんの田んぼは、年中水を張りっぱなし。収穫の際は水の中に入って人力で刈っていくという。「だって、水を抜いちゃうと水生生物が生きられないじゃないですか。メダカも元気に泳いでいます。草刈りも収穫も体力勝負ですが、環境を守るためならへっちゃらですよ」と、清々しく語る。

  • ナマイキカク
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生産者紹介

代表:生井一広
代表生井一広

埼玉県出身。東京で造園の施工管理をする会社で仕事をする中で、徐々に「自然の中で働きたい」という思いが芽生えてきた。「人が植えた植物ではなく、自然に生えている植物に囲まれたくなってきたんです」と、生井さん。そこで、2006年に新潟に移住し、妙高市の専門学校に進学。生物学について学んだ後、研修を経て、上小沢地区にて就農した。現在は、米の栽培をしながら、専門学校の講師を務め、学生に環境保全について指導している。「この辺の田んぼは、基盤整備のされていない、昔ながらの山の田んぼ。自然や生き物を感じながらの農作業は純粋に楽しいですよ」と、笑顔を見せた。

店舗詳細

店舗名称 ナマイキカク
住所 新潟県妙高市上小沢4460