源ちゃん農園
新潟県加茂市 店舗カテゴリ:農家・農業法人信濃川水系がもたらす肥沃な土壌で水稲と果樹栽培に取り組む農家。主力は和梨とル・レクチェ。自家製堆肥と有機質肥料を活用して育てる梨は、みずみずしくてジューシーだ。
和梨とル・レクチェを主力に育てる農家
新潟県の中央部に位置する加茂市。信濃川水系がもたらす豊富な水資源と水はけの良い砂壌土に恵まれた地域だ。そのため、河川敷では数多くの生産者が果樹栽培をしている。鵜森(うのもり)地区にある源ちゃん農園もその一つ。親子2代で梨を栽培している。主力は、「和梨」の南水と新高、そして西洋ナシの貴婦人とも呼ばれる「ル・レクチェ」。どれも「果汁が濃厚」「みずみずしい」と、地元民や県外客から絶賛されている。5代目の知野源一さんは、「父もよく言っているのですが、美味しく育つかどうかは、初期の段階で花軸を見ればわかります。太さが大事ですね」と、語っていた。花軸とは、花を支える茎の部分だ。こまめな水やりや剪定が、花軸を太くし、立派な果実を実らせる。
一つ一つ手作業で花粉付け
美味しさの秘密を探るため圃場に足を運ぶと、4代目の知野栄(しげる)さんが花粉付けの最中だった。源ちゃん農園は、手作業で行うのがこだわり。花粉付けは、機械よりも手の方が効率が良いそうだ。知野栄(しげる)さん曰く、梨は1個の花房(かぼう)に花が8個ほど咲くという。そのうち2、3個だけに花粉付けするのがポイント。一部の花だけが受粉することで、栄養が集中し、やがて大玉の果実を実らせるからだ。その微調整は手作業だからこそ。「機械は便利ですが、受粉させすぎてしまうことがあるんです。手間はかかりますが、美味しい梨を作るためには妥協できません」と、知野栄(しげる)さんは語る。
ル・レクチェ本来の味を引き出す「自然追熟」
ル・レクチェは、果実が緑色のうちに収穫し、40日間ほど追熟させてから出荷する。今となっては冷蔵設備で予冷処理をしながら、出荷時期を調整する方法が一般的になってきた。一方、源ちゃん農園が行っているのは、「自然追熟」。5代目の知野源一さんは、「いろいろな追熟方法がありますが、うちでは予冷処理をしていません。と言いますのも、昔から敷地内に大きな欅の樹がありまして、その木陰がもたらす影響力が大きいんです。温度変化などの環境ストレスが少ないのかな?一定期間ワインの熟成を待つかのようにゆっくりと成熟するため、風味がマイルドに仕上がります」と、微笑む。自然のものは自然の力を借りて育てる。だからこそ、果実本来の芳醇な香りとなめらかな食感を楽しめるという。また、収穫時に一次選別をして、追熟終盤の出荷直前で二次選別をするのもこだわり。知野源一さんは、「追熟中にサイズや品質が変わることもあるので、二次選別は出荷ぎりぎりまで粘ります。本当に質の良いものだけを送りたいですからね」と、笑顔を見せた。
生産者紹介
5代目知野源一
加茂市にて農家の長男として生まれる。農業系の学校で知識を身につけ、新潟市の農協に就職。約5年間、営農指導員を務めた。27歳の頃、実家の「知野農園」の5代目として就農し、稲作と果樹栽培に取り組む。「ご近所では知野さんというお宅が多いんです。だから、私の代からは自分の名前を付けて『源ちゃん農園』と名乗るようにしました」と、笑顔を見せる。営農指導員だったこともあり、肥料選びは人一倍こだわりが強い。天候や樹齢・樹勢を見極めながら、その作物に合った肥料を随時取り入れているという。たとえば、フランス産の有機質肥料。「おこがましいですが、ワインぶどうの栽培経験もあるんです。フランス生まれのル レクチエを育てるなら、フランス生まれの土壌菌を使えば良いんじゃない?って思ったんですよね」と、笑う。実際、以前に比べてより地力が高まったそうだ。ほかにも堆肥は、籾殻と食品残渣をブレンドした自家製を使用している。「農家は持ちつ持たれつ。栽培方法や肥料の知識は、先輩農家や仲間から学ぶことも多いです。これからも良きライバルとしてお互い切磋琢磨しながら、地域の農業を守っていきたいですね」と、力強く語った。
店舗詳細
店舗名称 | 源ちゃん農園 |
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住所 | 新潟県加茂市鵜森甲375 |