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村上市にて約600年続く伝統工芸品「村上木彫堆朱」の技術を受け継ぐ工房。優美で緻密な彫刻模様と、何層も塗り重ねられた美しい堆朱は、海外からも高く評価されている。

川村庚堂漆器店 親子で伝統を受け継ぐ工房

約600年前から受け継がれる「村上木彫堆朱」

新潟県の北部に位置する村上市は、かつて城下町として栄えた地域。平安時代から、良質な漆を多く生産していることで知られている。そんな背景から生まれたのが、伝統工芸品の「村上木彫堆朱(ついしゅ)」。花や鳥などの繊細な彫刻を施し、天然の漆を何層も塗り重ねた器のことだ。完成した直後は深い朱色だが、使い込むほどに艶と鮮やかさが増していく。皿・花瓶などの飾り物から酒器・茶碗といった調度品まで、結婚式の引出物や記念品として親しまれてきた。その美しさを生む独自の技法は、新潟県無形文化財、国の伝統的工芸品に指定されている。1950年創業の川村庚堂漆器店は、村上木彫堆朱を受け継ぐ工房。2代目の川村三樹さんと妻の和子さん、息子であり3代目の将さんが製作に従事している。「木彫堆朱は600年ほどの歴史がありますが、時代とともに需要が変わってきました」と、将さん。同店では、伝統的な堆朱のほか、カトラリーやアクセサリーのような実用的な品が人気を集めているようだ。

彫師と塗師。親子で息の合った製作

村上木彫堆朱は、全工程が手作業。彫師・塗師が分業で一つの品を製作する。まず、彫師がデザインを考え、彫刻を施す。そのあと、塗師が漆を塗り重ねていく。彫りから塗りまで16工程ほどあり、その製作期間は1〜2ヶ月にも及ぶ。一般的に、工房にいるのはどちらかの職人で、担当外の作業はほかの工房に委託するケースが多いという。しかし、川村庚堂漆器店はその必要がない。和子さんが彫師、三樹さんと将さんが塗師だからだ。将さんは、「うちの強みは、どちらも揃っていること。いつも一緒にいますからね。彫師の母がやりたいことは、塗師の父と私にも伝わるんですよ」と、微笑む。彫師の姿を隣で見ているからこそ、デザインの意図を汲み取り、クオリティを維持したまま塗り上げることができるのだ。そんな家族の絆で作り上げる作品は、多くの地元民に愛されている。人気の一つが、姫鏡。ハンドバックに入るくらいのコンパクトな鏡で、母の日や還暦祝いの品に喜ばれている。

  • 川村庚堂漆器店
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生産者紹介

3代目:川村 将
3代目川村 将

村上の伝統工芸を受け継ぐ、川村庚堂漆器店の長男として生まれる。3代目を継ぐことを見据えて、東京のデザイン専門学校に進学。卒業後は、東京の漆問屋に就職する。全国の産地と取り引きしながら、3年にわたり、漆の勉強に勤しんだ。そして、23歳で地元に戻り、3代目を継ぐ。「昔から親の姿を見ていたんですけどね。いざやってみると、一つ一つの工程の長さにびっくりしました。だからこそ、完成が楽しみなんです」と、川村さん。購入した人の「愛用しています」「贈り物にしました」といった喜びの声を励みに、日々伝統を受け継いでいる。

店舗詳細

店舗名称 川村庚堂漆器店
住所 新潟県村上市片町5-7