まつのやま茶倉
新潟県十日町市 店舗ジャンル:食品製造・加工ホーリーバジルを使用したハーブティー「神目箒茶」の工房。自然豊かな十日町市松之山で、栽培から加工まで一貫して行っている。華やかな香りのお茶は、贈り物にも人気だ。

きっかけは、旅先で見た風景
十日町市松之山の山間にある「まつのやま茶倉(ちゃくら)」。雄大な自然に囲まれた土地で、バジルの一種「ホーリーバジル」の栽培と、そのお茶の製造を行っている。代表の嶋村彰さんに伺うと、当初は「お茶屋」になることは考えていなかったそうだ。埼玉県出身の嶋村さんは、スノーボードが身近に楽しめる土地として、19歳のときに長岡市川口に移住。6年後に新潟県中越地震で被災し、仮設住宅での生活を経て、アジアや国内を転々と旅したという。「さまざまな人と出会い、暮らしや文化を目にする中で、『自然に身を寄せて暮らしたい』という想いが強くなりました」と、嶋村さんは語る。結婚後、緑豊かな松之山にあった古民家に一目惚れして移住。山の暮らしを学ぶため、林業に従事していた。そんなあるとき、旅先の長野県で出会ったのがホーリーバジルだった。「雪化粧をした南アルプスを背景に植えられたホーリーバジルの風景が、強く印象に残ったんです。お茶になると知って飲んでみたら、美味しくて感動しました」と、嶋村さん。そして、2018年に「まつのやま茶倉」を立ち上げた。
自然と共生して作る「神目箒茶」
「まつのやま茶倉」の看板商品は「神目箒茶(かみめぼうきちゃ)」。神目箒とは、ホーリーバジルの和名だ。バジルの一種で、インドでは伝統的な健康法において古くから利用されてきた。お茶にすると、芳醇で華やかな香りを楽しめる。ホーリーバジルの栽培では、農薬や化学肥料に頼らず、有機質肥料のみを使用している。また、雑草は必要以上に刈らない。ある程度の雑草があることで、土の中の水分が保たれたり、泥ハネを原因とする病気を防いだりする効果があるそうだ。さらに、雑草は畑の生き物の棲家にもなると、嶋村さんは教えてくれた。「農業をやっていると、土の中の微生物や虫たちも含めた『自然』に生かされていることを実感します。そうした小さな命を守ることを考えれば、自ずと栽培方法も決まるんです」と、嶋村さん。「まつのやま茶倉」では、栽培からお茶に加工するまでの工程はすべて手作業。四季折々の自然を肌で感じながら、「神目箒茶」を作っている。
ホーリーバジルが人とのつながりを生む
「大好きな松之山のことを多くの人に認知してもらい、足を運んでほしい」という想いから名付けられた、「まつのやま茶倉」。今では、茶摘み体験やヨガのイベントなどが開催され、多くの人が集まる場所になった。「もともとゲストハウスのような、人が集まる場所を作りたいという想いがあったのですが、『まつのやま茶倉』を始めたことで結果的にそれが叶いました」と、嶋村さん。また、日本国内はもちろん、台湾やイタリアなど、海外にも仕事として足を運べている。「ホーリーバジルが、いろいろな場所に連れて行ってくれて、人と出会わせてくれます。私にとって『宇宙船』のような存在ですね」と、嶋村さんは例えた。
生産者紹介

代表嶋村 彰
埼玉県出身。19歳で長岡市川口に単身移住し、6年後に新潟県中越地震を経験。アジアや日本国内の旅を経て、さまざまな人や暮らしと出会う。帰国後、結婚して十日町市松之山に移住。2018年に「まつのやま茶倉」を設立した。自然相手の農業は思い通りにいかないことも多く、毎年変わる気候条件に苦労しているという。だが、今の生活には大きな喜びも感じているそう。「小さな種子から作ったものを商品にして、売ることで感謝され、それがまた作る喜びに変わる。そういう体験を自分の子どもと一緒にできていることが、一番の幸せですね」と、嶋村さんは笑顔を見せる。
店舗詳細
店舗名称 | まつのやま茶倉 |
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住所 | 新潟県十日町市松之山黒倉1150 |