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阿賀野市の旧大和地区に古くから伝わる民芸品「大和箒」を作っている農家。「ホウキモロコシ」という植物から作られる大和箒は、「軽くて使いやすい」と評判だ。

福成商店 軒下のたたみ一畳の上で編み上げる

農家の冬仕事として作りはじめた民芸品

阿賀野市の旧大和地区には、「大和箒(やまとほうき)」と呼ばれる民芸品がある。「ホウキモロコシ」という植物から作った、軽くて使い勝手の良い「和ほうき」だ。これは、明治・大正時代に農家が冬仕事で作りはじめたもの。当時は、冬場の大切な収入源として多くの家で作られていたそうだ。福成商店は、現代まで大和箒を作り続けている数少ない農家。大和箒の材料となるホウキモロコシのほか、コシヒカリやみかんの栽培を行っている。「昔は大和地区の農家ならどこでも作っていたものです。うちも代々続く米農家で、祖父の代から大和箒を作っています。当時は阿賀野川の渡し船に乗って、隣の五泉市まで売りに行っていたそうですよ」と語るのは、3代目の福嶋一成さん。大和箒の歴史を受け継ぎ、仕事や農業の傍ら制作に励んでいる。今でも大和箒を作り続ける理由を尋ねると、「この地域で100年以上も作り続けてきたものを、自分の代で辞めるわけにいかないですからね。もはや生活の一部だし、意地みたいなものもありますよ」と、福嶋さんは微笑む。

材料となる「ホウキモロコシ」の栽培

ホウキモロコシとは、モロコシ属の一年草。穂の部分をほうきの材料として利用することから、その名が付けられている。福成商店では、大和箒の材料となるホウキモロコシを種から栽培している。「春に種を植えて、夏に刈り取り・乾燥・脱穀をして、ようやく編み込みの作業になります。質の良いほうきを作るには、いかに太くて丈夫な茎を育てられるかが勝負です」と、福嶋さんは語る。草刈りや追肥を定期的に行いながら、丁寧に管理することで、根張りが良く健康なホウキモロコシに育つという。また、大和地区の気候は、ホウキモロコシの栽培においてメリットがあるそうだ。「この辺は、『だしの風』と呼ばれる強い風が吹く地域なんです。不思議なもので、強風にさらされて一度倒れても、自力で起き上がってくるんですよ。その分、丈夫に育ちますね」と、福嶋さん。さらに、強風にさらされることで穂先が細く縮れてくるため、小さなゴミまでしっかり集められるほうきに仕上がるそうだ。

暮らしの中でこそ輝く「生活工芸品」

福嶋さんのポリシーは、「毎日の暮らしの中で、大和箒を普段使いしてもらうこと」。「たまに『もったいなくて使えない』というお客さんがいらっしゃるんですが、大和箒は使ってこそ良さが分かると思うんです」と語る。大和箒は、穂先から持ち手までホウキモロコシのみで作っているため、想像以上に軽くて使いやすいことが魅力。しなやかで手に馴染みやすく、毎日使うことでほうきの穂先がどんどん自分好みの角度に変わっていくそうだ。「使い込むほどに味が出てくるので、そこも楽しんでほしいですね。丈夫で永く使えるものなので、気にしすぎずに使ってください!」と、福嶋さんはニカッと笑う。

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生産者紹介

3代目:福嶋一成
3代目福嶋一成

阿賀野市出身。代々続く米農家に生まれる。就職を機に関東に移住していたが、結婚を機にUターン。「自然があるところで子育てしたいと思ったんです。昔から見ていたこの景色を自分の子どもにも見せたかった」と、福嶋さんは語る。現在は兼業農家として働きながら、大和箒の制作を受け継いでいる。「大和箒を編んでいる時間が好きですね。集中してくると周りの音も耳に入ってこないほど没頭しています。ここ大和地区で、100年以上続く民芸品を作ってる奴がいるってことを知ってもらいたいです!」と、笑顔を見せる。

店舗詳細

店舗名称 福成商店
住所 新潟県阿賀野市嶋瀬